違っげえだろっ!
断じて違うだろっ!
そんな言葉、誰でも言えるし、向こうも散々聞いてきただろう。
常に猫という衣はかぶっちゃあいるが、歯にだけは衣着せないこの自分。
きっと求められているのは別の言葉だ。もっと突っ込んだことだ。
(この際、向こうが穏便に済ませたいなーと思っている可能性は無視することにする。)
もしかしたら、怒られるかもしれないし、敵を作るかもしれない。
でも、きっとこの場で発言すべきはきっと、「許可漁業」の事だ。
自分は研修中、これにずっと納得がいっていなかった。不満だった。
時には怒りすらも覚えた。
でも、その不満の理由をまだ具体的に言葉にできていないので
この場で推敲し、まとめておくことにする。
そしてそれを26日に解き放とう。
それで、今後、自分の辿ってきたこのニューフィッシャー事業が改善されれば、と切に願う。
一応、これからニューフィッシャー事業に乗っかって
漁師になろうっていう人もこれを読むかもしれないから
誰にでも理解できる文章になるよう心掛けたいと思う。
また、もしそういった人がいるのならば、
自分のように転職してゼロから漁師になる!という人がいるのならば
下記文章をよく読んで修行先/移住先を決める参考にして欲しいと思う。
まず「許可漁業」とはなんぞや、というところから。
漁業自体、「漁業権」が必要な許可業じゃんって思うかもしれない。
その通りである。
だが、漁業には通常の「漁業権」だけで操業できる漁とできない漁があるのだ。
実例を挙げよう。
自分、この佐竹が研修中、
特に個人漁師の研修中に触れてきた漁は下記の通りになる。
- 一本釣り
- 引縄釣り
- 建網漁(刺し網漁)
- 流し刺し網漁
- たこつぼ漁
- あなご籠漁
- 底引き網漁
- 素潜り漁
師匠はやらなかったが近隣では他に
- ごち網漁
- 延縄(はえなわ)漁
- 潜水漁(潜水服を着て操業する漁。船側で酸素をカットし、海中の漁師を殺す事件が横行したため、親子などの肉親2人以上でないと操業できない。)
なんていう漁もある。
このうちの赤字が全て「許可漁業」だ。
通常の漁業権の他に、それぞれの許可証を持っていないと操業することは許されない。
逆に言えば、通常の「漁業権」だけで操業できるのは黒字の漁だけという事になる。
(ちなみに、許可証なしの操業は違反になり、短期間の操業停止命令や罰金が課せられる。
酷い場合は「密漁」扱いになり、3000万円以上の罰金が!)
「ふーん。じゃあ新しく許可証取得すればいいじゃない。
そうすれば全部できるんでしょ?」
って思うかもしれない。
ところがどっこい。
できないのである。
上記赤字の漁のうち、新しく発行されるのは「底引き網漁」だけだ。
(底引き網漁に乱獲の要素はない。
ただし、海底を破壊する要素があるので許可漁業に指定されているのだと思う。)
他の許可証はなぜ発行されないのか。
理由は単純、「乱獲」&「混獲」。
海の資源の枯渇に繋がる要素を持っているからだ。
海の資源は年々減少傾向にある。
上記赤字の業種の許可証が新しく発行される事はおそらく、もうないだろう。
だが、それでいて
この佐竹が個人漁師の研修中、
主に従事する事になったのは流し刺し網漁とボラ囲い刺網(タタキ)の2種だった。
誇張抜きに7、8割の時間をこれらに費やすことになった。
許可漁業は前述した通り、「乱獲」の側面を持っている。
近年、魚価の低迷が続く中、
沿岸漁師が手っ取り早く稼ぐには量を多く獲るしかない。(とされている。)
師匠をはじめ、周りを見渡してみると
よく稼ぐ漁師は皆、許可漁業を操業している。
彼らも生活がかかっているので、許可漁業に走る気持ちはわかる。
だが、研修でこれをやらされる方としてはたまったものではない。
この佐竹も・・・
気が付いた時にはもう新しく許可の発行されることのない―
将来的に自分のできない漁を延々と手伝う事になってしまっていたのだ。
漁師の基礎知識は身に付いたかもしれないが、正直な話、そこにやりがいはなかった。
っとまで書いてから前提を覆すようだが、
一応、自分のようなニューフィッシャーでも、
そういった許可漁業の許可証を入手する方法は、あるにはある。
あるにはあるが・・・
これまた因習チックな方法で全然納得がいっていない。
まあ、簡潔に言うと許可漁業の許可証は
他の漁師から金で買う事ができる。
もう、意味が分からない。
一体どこのどいつが許可証を金で取引できるよう許可したんだ?
助走つけてぶん殴ってやりたい。
大体、許可証を新しく発行しないのは乱獲なんかに繋がるから。
という理由のはずなのに、これはなんだ。
プレミア感煽って相場を上げているだけじゃあないか。
無くしたいんだったら無くせ。
まあ、推測するにこれは息子なんかの自分の後継者に許可証を残せるように、
「許可証の名義変更は自由にできますよ」という穴だらけの
ルールが捻じれに捻じれ曲がって、あるいは曲解、あるいは譲歩されて今の形になったのだろう。
何にせよ
許可証の値段は交渉次第でいかようにもなるが、
価値のある許可証は30万円から100万円と言われている。
(魚種が流行ったりしたら株のように上下する。
過去には300万円に達した許可証もあるとかないとか。)
船だけで数百万かかるのが普通なのに、許可証で何十万も払って、さらに漁具代で何十万。
これを、ニューフィッシャーにやりたきゃ出せ。というのは余程の事でもない限り無理だ。
なので・・・
せめて、研修で許可漁業をやらせるのを認めるのならば
ニューフィッシャー卒業の暁には限定的※でもいいから
許可証を新しく発行して欲しいという事を自分は最終ヒヤリング会で訴えるつもりだ。
(11/27追記:訴えてきました!)
自分はもはや許可漁業に頼る気は そんなに ないが、せめて、後続の人達のためになればと思って
別に言わなくてもいい事を言ってきた。
色々な人にかなーり渋い顔をされたぜフハハ!
※:各漁協支店には所謂ゴースト許可証がまだまだ多く存在している。
いずれ帰ってくる息子のために・・・ とかそんな理由で操業していないのに
許可証だけ握っている人がたくさんいる。
支店での稼働率が何割かを超えるまで限定的に操業していいとか・・・
そんな措置が欲しい。それだけでかなり違うだろうな。
まあ、なんだ。
もし、これからニューフィッシャー育成事業に乗っかって漁師を目指すぞ!
という人がいたら
研修内容と、その中に許可漁業が含まれているのか。いないのか。
含まれていた場合、その許可の入手方法はどうなるのか。
新しく発行されるのか。されないのか。
お金を積む必要があるのか。ないのか。
師匠が手配してくれるのか。くれないのか。
必ず確認するよう気を付けて欲しい。
以上です。