こちらでは「でごんどう」と呼ばれているスナメリ。

瀬戸内海の食物連鎖の頂点にして

綺麗な海にしか生息しない愛すべき生物。

近所の広島県の特定海域は「スナメリクジラ回遊海面」として

天然記念物に指定されていたりもする。

 

こいつはサタケの暮らす島周辺の海域でも生息が確認されており、

サタケもしばしばその姿を確認している。

 

・・・主に流し刺し網漁で。

 

夕方に網を打って、

深夜に網を上げる漁なんだけれど、

 

このスナメリが時々混獲されて上がってきてしまう。

 

スナメリは哺乳類でエラを持たないので

網に捕まって長時間海の中にいると呼吸できずに死んでしまう。

そのため、サタケが網でその姿を確認するときは

それはもうホント必ず死んでいる。それも血の涙を流して。

 

特別な理由があって国の許可を受けていないと

狙って獲ってはいけない、つまり、網で混獲されてしまう分には

仕方がないという事で黙認されている生き物なんだけれど・・・

市場には出せないし、食べてもそんなに美味しくないらしいし。

大概の漁師はスナメリを獲っても海に捨ててしまう。

 

ホントになんとかならないのかなぁ。

国際自然保護連合によってスナメリは

レッドデータアニマルに認定されているらしいし。

 

こういった希少生物だけでなく、

魚の幼体なんかも区別なく獲って殺してしまうし

(もちろん将来的な漁獲量の減少につながる危険性がある。)

網って本当に恐ろしい漁法だなと思う。

 

確かに1回で15万円以上のとんでもないお金になる可能性のある漁だけれど

今の自分の生活を支えるために、海の将来を潰していいのだろうか?

 

漁師を目指し始めて、現実を知り、色々な疑問が湧いてくる。

 

こうした事実から目を背けるのは簡単だけれど・・・

 

一体どうしたら。

 

やはり網を使わなくても漁師が食っていけるような

魚一匹一匹の価値を上げる手段を構築するしかないのだろうか。

 

道は険しいな。

でもやらなくては。