今日の瀬戸内海は一面真っ白。(なんだこの写真)
風ひとつなく、波一つなく、霧靄が立ち込め、海と空の境界線が分からない。
水天一碧ならぬ水天一白といったところ。
インフィニティ風呂ならぬインフィニティ海。
ま。
靄で視界不良なのはともかく、波風が一切ないのは素晴らしい。
絶好の網繰り日よりだ!
網の手繰り始め、自分で設置したブイを発見するのにちょっと手間取ったが―
オラアアアアアアア!
順調!
漁労器具である油圧ローラー様様で順調に繰れるぜ網を!
何も上がってこなくてすんげー順調だ!
速い!速いぞ!
すぐ終わりそうだ!
・・・
やべーぞ~
5カゴ仕掛けたうちの2カゴが不発。
でも、こんなのは網を上げ始めた時点でなんとなく察しがついていた。
というのも、この網、思った以上にボロい!!
網をやる時すでにボロいな~とは思っていたけれど―
これは思った以上だ。
上げている時は網にテンションがかかるからね、
上げてるそばからブチブチ音を立てて切れていってる。
こりゃー 魚が網にぶつかってもそのまま突破されるわい。
さすが先輩漁師の倉庫で10年にわたり放置されていただけのことはある。
完全に朽ちている。
ずおお!いきなり来た!真鯛だ!
でも何故だ!
網の目の大きさが違うから本来かかるはずのない真鯛が突然に!
レンチョウ(アカシタビラメ)建てだぞ!この網!
あれか!網が切れて目がつながったのか!2つが1つになったからか!
網がボロボロで今にも落ちそうだったのでタマでサポートして水揚げする。
そしてそれからは
まさかのホシザメ(この辺ではノウクリと呼ばれている。)地獄。
22本も来やがった。
適切な処理をすれば臭みもなく、鯛なのかな?と思うくらいには美味しいんだけれど、
一般的には雑魚中の雑魚。
漁師的にも市場に流したところで手数料の方が高く付いて赤字になるという忌み嫌われた魚だ。
上がるたびに網をブチ切って海にリリースしてやる。
痛くもかゆくもないぜ。どうせボロボロの網なんだから。
おかしいな。
これじゃあホシザメ建てじゃあないか。
レンチョウ1枚も来ない・・・。
とか言ってたら終わりがけに2枚きた。
おかしいだろ・・・
ホシザメとアカシタの数字、逆だろ・・・
まあ、理由は明確。
網がボロボロだったからだ。
網の目が大きすぎてアカシタビラメが普通に抜けていったのだろう。
ホシザメはでかすぎて抜けれなかったという話。
何にせよ。
この後、4時間ばかり釣りに出たがエソしか釣れなかったので
今日の出荷物は真鯛が3枚。(大中小)合計4.6Kg。
アカシタビラメが2枚。合計0.8Kg。
いくらになるかな~。
真鯛は高級魚ととられがちだけれど
この辺界隈ではものすごく余っているようで
今は1Kgあたり300円が相場だそう。
じゃあ真鯛は300×4.6で1,380円。
アカシタビラメは底引網漁の時と同じ相場なら1Kgあたり1,000円。
じゃあ0.8×1,000で800円。
1,380+800で今日の儲けは2,180円。
これから手数料やらなんやら引かれるワケだ。
うん。燃料代を考えると
大赤字だな。
勉強になったし経験は積めたが・・・
前日夕方に網を仕掛けに行って(2時間)
早朝に網を繰りに行って(2.5時間)
繰り終わったら次にまた網ができるように、網を繰り返す。(1.5時間)
(繰り返しはしたけれど、もう廃棄処分でいいレベル。)
6時間かけて2,180円。
時給換算すると363円。
客観的に見ればアホらしいことこの上ない。
おそらく、おそらくだが、
仮に数十万円をかけて網を新品にしたとして
(詳しくは知らないが1カゴ、50m前後で7万円くらいが相場らしい。)
元は取るのは非常に厳しいかと思う。
これは島の漁師が誰一人としてレンチョウ建てやカレイ建てをしていない事からも
想像するに難くない。
・・・
あーあ。
どうすっかな~。
マジで流し刺し網漁って人権だな。
これの許可を持っているか持っていないかで
この時期の充実度と収入は明らかに変わる。
でも、いくら欲しくても新規に発行される許可じゃあないからな~。
指を加えて眺めているか、赤字覚悟でジタバタするしかない。
許可を持っていない漁師 &
許可を持っていても夜の仕事がイヤだからと操業しない漁師と同じく
イワシ網漁が始まるまで家で寝て過ごすってのが正解なのか?
カー!
嫌だね!まっぴらごめんだね!
できる限りジタバタしてやろう。
残りの手持ちカードは
たこつぼ、あなごカゴ、延縄(はえなわ)の3つ。
いずれも1種類で仕事を成立させるほどの数を持っていないが
3つ全てと釣り、刺網を組み合わせれば―
何かにはなるかもしれない。
ま。
明日は嵐が来るみたいだから休みだな。
戦略を練ろう。